当てるより「外しても困らない運用」
はい、証券パートナーズの三好です。
証券会社にいた頃、先輩からこんな質問をされたことがあります。
「株価、金利、為替。この3つの中で、先行きを一番当てるのが難しいものは何だと思う?」
答えは「為替」でした。
もちろん、株価も金利も簡単に予想できるものではありません。
金融の仕事を長く続けるほど、相場を当て続けることの難しさを感じる場面の方が増えてきます。
為替まで毎回ぴたりと当てられるなら、たぶん私はお客様の相談に乗っている場合ではありません。
今ごろ、南の島でこのブログを書いているはずです。
残念ながら、現実はそうではありません。
だから私は、お客様の資産運用を考えるとき、
「これから株が上がるのか」
「金利はどこまで上がるのか」
「ドル円は円高になるのか、円安になるのか」
という予想だけを頼りに、資産を大きく動かすことはあまりしません。
相場はもちろん見ています。
ただ、見た相場に毎回答えを出そうとしないようにしています。
相場を見過ぎると、投資は難しくなる
お客様の中には、
「三好さんに任せているので、普段はほとんど相場を見ていません」
という方も多くいらっしゃいます。
私は、それでいいと思っています。
毎日株価や為替を見始めると、
「今日はこんなに下がった」
「円高になってきたけど大丈夫だろうか」
「ニュースでは景気後退と言っている」
と、不安になる材料ばかりが目につきます。
そして、下がると売りたくなり、上がると買いたくなる。
相場はこちらの気持ちを、なかなか上手に振り回してきます。
気がつけば、本来やる必要のなかった売買を繰り返してしまうこともあります。
大切なのは相場を当てることより、多少動いても続けられる運用を最初から作っておくことです。
株式は分散して、時間も分散する
株式については、複数の国や企業へ分散された投資信託を使いながら、時間も分散して買っていく考え方が好きです。
例えば、
「今は円安だから海外資産は買わない方がいい」
「もう少し株価が下がってから買おう」
と考えていると、結局いつまで経っても投資できないことがあります。
為替も株価も、短期の動きを正確に当てるのは簡単ではありません。
だから、
「ドル円を予測してから投資する」
のではなく、
「ドル円を予測できないことを前提に投資する」
という考え方をします。
株価が上がれば、すでに持っている資産が増えます。
株価が下がれば、積み立てでは安い価格で多く買えます。
どちらになっても、長期的には一定の意味が残るようにしておく。
これが時間分散の良いところです。
債券は「満期」があることを大切にする
債券についても、投資信託だけではなく、満期の決まっている個別債券を活用することがあります。
個別債券は、発行体が債務不履行にならず、満期まで保有できれば、原則として額面で償還されます。
途中で金利が上がり、債券価格が下がっても、満期まで持つのであれば、途中の価格変動を必要以上に気にする必要はありません。
また、
3年後に満期を迎える債券
5年後に満期を迎える債券
7年後に満期を迎える債券
というように満期時期を分散しておけば、将来の金利がどうなっても対応しやすくなります。
金利が上がれば、満期を迎えた資金をより高い金利で再投資できます。
金利が下がれば、以前購入した比較的高い利率の債券を保有できます。
「どちらに動くかを当てる」のではなく、「どちらに動いても大きく困らない形」にしておく。
IFAの仕事は、相場を毎回当てることなのか
金融の仕事をしている以上、相場の見通しを考えることは必要です。
ただ、私はそれ以上に大切なのが、
「お客様が長期間、投資を続けられる環境を作ること」
だと思っています。
例えばS&P500を100%保有していれば、長期的に非常に高いリターンになった時期もあります。
しかし、途中の大きな下落で怖くなって売ってしまえば、そのリターンを得ることはできません。
一方で、株式だけではなく債券も組み合わせて値動きを抑え、結果として10年、20年と続けられたなら、その方にはそちらの運用の方が良い場合もあります。
資産運用は、単純に「インデックスを何%上回ったか」だけで判断できるものではありません。
途中で不安になり過ぎなかったか。
必要なお金を確保できたか。
相場が悪いときにも続けられたか。
そして最後に、資産をしっかり残せたか。
こういったことも含めて考える必要があります。
私が大切にしているのは「退場しないこと」
私のお客様には、これまでほとんど投資経験がなかった方も多くいらっしゃいます。
短期間で資産を2倍、3倍にする運用を目指しているわけではありません。
株式だけに集中せず、債券なども組み合わせながら資産全体を考えています。
そのため、相場が大きく上昇しているときには、株式100%の運用より値上がりが小さく見えることもあります。
少し地味です。
投資の話としては、たぶん派手な方が盛り上がります。
ただ、それでも私が大切にしているのは、
「相場が悪くなったときに、資産運用そのものをやめてしまわないこと」
です。
大きな失敗で市場から退場してしまえば、その後に良い相場が来ても恩恵を受けられません。
一番儲かる運用ではなく、一番続けられる運用を考える。
相場を当てる運用ではなく、外しても続けられる運用を
株価がどうなるのか。
金利がどうなるのか。
為替がどうなるのか。
私はこれからも考え続けます。
それが金融の仕事でもあります。
ただし、その予想がすべて当たるとは思っていません。
だからこそ、予想が外れても大きく困らないポートフォリオを作る。
株式は分散する。
購入時期も分散する。
債券は満期や発行体を分散する。
短期的な相場変動だけで、資産全体をガチャガチャ動かさない。
私は、こうした運用の方が、長期的には多くの個人投資家に向いていると考えています。
相場を当てることより、相場を外しても続けられること。
それくらいの距離感で相場と付き合う方が、結果としてうまくいくことも多いのではないでしょうか。
今日はこの辺で。
※本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、特定の金融商品や投資手法を推奨するものではありません。投資には価格変動、為替変動、信用リスク等があり、元本を下回る可能性があります。
このブログでは、私が日々考えていることや、仕事・お客様への向き合い方をお伝えしています。
資産運用について、ご自身の状況に合わせてもう少し具体的に整理したい方は、証券パートナーズの相談窓口をご利用ください。相談後の商品購入は必須ではなく、無理な勧誘も行いません。
